丸いキーボード「tomoe」を作っています。
Advent Calendarどころか2020年も完走が近い今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
この記事は「キーボード #1 Advent Calendar 2020」24日目の記事としてお送りします。
開発中の丸いキーボード「tomoe」について、つらつらと書いていこうと思います。
コンセプト
丸い外形
後述するように手首でボタンを押せるようにしたいわけですが、そうすると手前側に大きい形が必要になります。
スケッチしてみたら、これは丸くできそうだ、となりまして。
パーツ同士がかみ合いつつ、ぐるっと丸い形のイメージから名前は「tomoe」になりました。
ただ、キー配置自体はコンパクトにまとめたかったのでKailh Mid-height スイッチを使用しました。
http://www.kailh.com/en/Products/Ks/KHS/327.html
通常のMXと比較したサイズ感はこんな感じです。
小さいのでキーピッチも詰めることができまして16.8mm。狭ピッチです。
JIS上の規格では 19±1mm と定められているので結構思いきった狭さですが、日本人男性を対象としたユーザビリティ評価で17mmまではパフォーマンスに影響しないとの結果があるらしく。
なので、とりあえず詰めるだけ詰めてみました。
キーキャップは市販では手に入らないと思っていたんですよね…あったんですね、0.8U…。
(とはいえ、mid-heightはハウジングも小さいので嵌るかわかりません。入手次第で確認してみたいと思います。)
TEX ADA Blank Keycaps (1個) | 遊舎工房
TEX ADA ABS 0.8Uブランクキーキャップ (2個/ブラック) | TALP KEYBOARD | 自作キーボードとキーボードパーツの店
無いと思っていたので作っちゃったんですけど。
CNCで原型を切削して、型取りして複製しました。
ステムの十字をポケットで彫るの、精度出すのしんどいので別の方法を考えます。
0.5mm径のロングネックなエンドミルがストックに突き刺さったまま折れた日にゃ「デスヨネー」としか言えませんでした。
手首の左右にボタンを設置
キーマップを検討していて「指が足りないな」って思う事、ありませんか。
かといってフットスイッチに割り振ったところでどうにも使用感がなじまない。
ならば手首で押してみたら良いのでは?
ということで、手首の左右で押すボタンを設置しました。
指に比べて手首はあまり大きく動かないので、スイッチは接点の短いマイクロスイッチです。
マイクロスイッチ用のキャップ(と呼ぶのだろうか?)はマウスを参考にして作ってみました。
押せるようにはなりました。ただし、心地よさがありません。要調整です。
現在の進捗
とりあえず右手側、配線してキーキャップを仮ではめてみました。
TwitterにUPしてみたら「花札みたい」との感想をいただいて「なるほど確かに。」って思いました。
ちなみにこちらは空中配線中の図です。
改善項目
ケース
ねじ止めや配線周りの検討がさっぱりできておらずなので、全てに近い作り直しになります。
親指の角度変更
一般的なキーボードのスペースキーと同じように、親指を横に動かして指の側面で打鍵する方式にしてしまったのですが、握りこむときのように内に動かして指の腹で打鍵するようにしたいです。
今使ってるトラックボールマウスがちょうどそんな感じなのですけども。
あと、手首と同じくマイクロスイッチを使ってしまったのですが、接点が短すぎて打鍵が物足りないのでキースイッチにしようかと。
手首のボタン位置を再考
現状、ボタンが手のひらのあたりに来てしまうので打ちにくいです。
外形を大きくしてボタン位置を外側にずらすか、高さを出して手に触れやすくするか、など調整してみようと思います。
参考文献
JIS Z 8514:2000 人間工学−視覚表示装置を用いる オフィス作業− キーボードの要求事項
https://kikakurui.com/z8/Z8514-2000-01.html
6.2.1 キー配列及びキーの中心間距離 キーの配列は,ISO/IEC 9995に適合しなければならない。中心間を測定した英数字領域と数字領域における隣接する二つのキーの中心間距離は,左右方向と上下方向とも,19mm±1mmでなければならない。
デザイン人間工学の基本(山岡 俊樹:著)
キーピッチのユーザビリティ評価結果など参考にしています。
事例として随所にキーボードが取り上げられている本です。人間工学的な観点で開発してみたい方は楽しめると思います。
Kindle版は基礎編、応用編の分冊みたいです。
この記事はARCHISS ProgresTouch RETRO 静音赤軸とMacBook Proのキーボードで書きました。